コミックメーカーコンテスト大賞 大賞受賞作
  「アキトDATE〜凶行の違和感〜」特集ページ


後編:受賞インタビュー

コミコン大賞受賞について「アキトDATE〜凶行の違和感〜」を製作したFBIのスタッフのお二方
(シナリオ・システム担当:ハナ様/作画担当:ハシ様)
にお伺いいたしました。
(このインタビューは受賞後にお答えいただいたアンケートをもとにCMGI側で編集させていただいたものです)


以下、敬称は略させていただきます。


スベテワシノモノジャ〜
vs
キッチリ折半で


賞金の行く手は・・・?(笑
//大賞を受賞して
 ・・・今のお気持ちを御願いいたします・・・//

ハナ:
この度は、大賞なる身に余る賞をいただきまして、まことにありがとうございます。投票いただいた皆様に厚くお礼申し上げます。
そして、主催されました近藤様初め、関係各位の方々ともに、長期間のコンテスト管理おつかれさまでした。
また、この場を借りまして、素材を提供していただきました方々に、改めてお礼申し上げます。
当方の制作しましたゲームを、正式な形で評価していただいたのは、今回が初めてだったりします。
それもありまして、この度、このような場を設けていただいた事に、深く感謝いたします。

と言う訳で……

ワーイ大賞じゃ〜!
お金がもらえるじゃ〜!!
ハシ(←作画担当)にはやらんぞ〜!!! 

スベテワシノモンジャ〜
うひひひひ……

ハシ:
近藤さま、コンテスト運営者さま、みっくすさま、素材を貸して下さった方々、
そしてプレイして下さった皆様、投票してくださった皆様に本当にありがとうございます。

えーと、真面目に答えようと思ってるんですがとりあえずハナさんにツッコミたいです。
賞金はキッチリ折半で。


主人公が勝手に推理し、気が付いたら終わっているという状態だけは避けたかった


本作の特長の一つとしても挙げられ、
全てのプレイヤーが推理を楽しめるように作り上げられた
考察モード

//(笑)・・・では、この作品を製作するに
 当たって「ここだけは!」とこだわった点
  などありますか?//

ハナ:
やはりと言うべきか当然と言うべきか、踏み込んだジャンルが推理ADVであったため、製作過程で最も留意した点は「いかにして、プレイしていただく方々に推理を楽しんでもらうのか?」の一点につきます。アキトDATEの最大のコンセプトは「推理する楽しさと、謎を解いたときの爽快感」を提案することでした。
主人公が勝手に推理し、気が付いたら終わっているという状態だけは避けたかったわけです。
そのためには、ストーリーの展開にあわせて、プレイヤーの方々に事件の全体像を正確に捉えてもらわなければならない。

しかし、短距離走が得意な人がいれば、長距離走が得意な人もいるように、得意な推理方法にも個人差はあります。シャーロックホームズの様にスタートダッシュが滅法早い人もいれば、金田一耕助の様に、緻密なロジックを正確に組み立てていくスタンスの人もいる。(例えばですよ〜)

しかし、ゲームを一度完成させてしまえば、プレーヤーの推理スタイルに合わせて内容を変更する事ができない。
この状況で、どのプレイヤーにも同一の謎解きの爽快感を味わってもらえるのだろうか?

そんな考えのなかで生まれたのが「カードシステム」と「考察モード」だったわけです。
まぁ、実際は賛否両論あったようですが、本人はいたって満足しちょります。
(ちなみに、「考察モード」の起源たる「カードシステム」の発案は作画担当のハシだったりして……。えらそうな事いってすみません)


一瞬一瞬がスチルとして描かれている臨場感は
他を圧倒する。

ハシ:
アドベンチャーゲームのグラフィックは「立ち絵」というキャラクター絵とイベント絵という特別にピックアップした画像で成り立っているものが多いですが
推理モノだとそれではなんだかのっぺりしてしまう印象だったので臨場感を感じてもらえるようグラフィックの数はカメラアングルを変えて多めにしました。
「コミックメーカー」の名にふさわしくなるようにプレイしてくれる方がノベルではなく、マンガを読み進めて行く様な感覚になってくれればいいなと思いながら描かせて頂きました。


当時はネット繋いで間も無い初心者でした。ネットの歩き方も知りませんでした。


お二方共に、本作品を制作する前は
初心者だったと言うから驚きである。

//「アキトDATE〜凶行の違和感〜」の
 製作期間はどれぐらいでしょうか?
  また、ご自身のゲーム製作歴を
   お教え下さい。//

ハナ:
大体、8ヶ月くらいかかったでしょうか。
本作で始めてのクリエイター活動になったわけですが、当時、パソコンを始めて間もなかったため、
日夜、プリントアウトしたコミックメーカーの使い方と睨めっこの日々でしたねぇ〜。
あれから既に2、3年経ってますから(一時中断してましたが、最近ちょっとずつ動いてたりします)ゲーム制作歴もそれくらいなのかなぁと……。

ハシ:
ゲームはハナさんとボケとツッコミかましつつ、そして時々本気でバトルしながら八ヶ月程かけて制作しました。
当時はハナさん同様、ネット繋いで間も無い初心者でした。ネットの歩き方も知りませんでした。
ゲーム経歴は本作が処女作になるので本当にまだ浅いです。これからも日々勉強して行きたいと思います。
ゲームを作ろうと思ったのはハナさんの原作を面白そうだなと思いながら読んだことと、自分の友人がコミックメーカーを使用してゲームを作ってウェブ上で発表していた事が、「作ってみよう」ということへの引き金になりました。なのでその友人にも心から感謝です。


とてつもなくシンプルに再現できたのですが、
いかんせん、それに気付いたのは考え出してから4日も経ってから


秋人が推理を披露するシーン。
細かなところまで凝っていて、目を離せない。

//制作にあたって苦労した点を
 お答え下さい。//

ハナ:
なにぶん始めてとの事もあり、色々なところで苦労はしましたが、やはり一番しんどかったのは変数の管理でしょうか。
右も左も分からなかった当初は、必要とあればドンドンと新しい名前の変数を追加していっておりました。結果、気づけば数値変数が使用可能量を突破しそうな気配を感じ、イカンッ!と、組み込んだ変数を再度整理しなおす事になった事があります。
しかし、気の赴くままに組み込んでいった変数は、既にその時点でピラミッドを逆さまに突っ立てたようなアンバランスさを露呈しており、いやこれが、変な所を一個いじるとそれはもう気持ち良いくらいの大崩壊。
あっちこっちで雪崩の悲鳴が聞こえたりしてました。やっぱりご利用は計画的なのが一番体に優しいのですね。無駄に肥大した変数の量を管理するのは、ホントに一苦労でした。

そして、何より問題なのは、思いついた演出法は絶対組み込みたいと考えるヘンタイ作者の性格です。あーでもないこーでもないと、コミメカのコマンドをいじり倒しておりました。何気に、一番難しかったのは、カードモードから戻った瞬間の演出(?)でしょうか。
サブルーチン(カードモードの中身はサブルーチンです)から復帰すると、自動的に次のコマンドを読み込むコミメカ2の特性上、台詞の最中にカードモードを往復すると、勝手に次の台詞に進んでしまう……。コレがどうしても引っかかり、何とかしようと考えた方法は、それはもう鬼のようなコマンド配列
結局は、そんな事せんでもとてつもなくシンプルに再現できたのですが、いかんせん、それに気付いたのは考え出してから4日も経ってから。馬鹿は死ななきゃ治らんようです。

ハシ:
「マンガを読み進めるように」をコンセプトにしたのにそれが仇になり容量が大きくなってしまい苦労しました。
どうしても画像数が多いとパッケージの容量が大きくなってしまいウェブ上にUPするにもDLするにも負担があったりしました。
でもそれがきっかけで上手く減らせる方法も勉強出来ましたね。当時全画面表示していた画像サイズを縮小して別にウインドーを設けて表示してみたらビシッとゲームっぽい画面に引き締まりました。あとプラグインにはお世話になりました。時には思い切って引き算することも大事です。
それと、もうこれはしょうがないですがジャンルが「推理ゲーム」ということでストーリーとグラフィックのつじつまを合わせるのに苦労しました。
原作者のハナさんとバトルしたのも苦労といえば苦労ですが(笑)今ではいい思い出です。

//今後のPRなどありましたら御願いいたします。//

ハナ:
一時は座礁しておりました続編も、最近再稼動を始めております。
(やっと、満足いくシナリオに近づいてきたので……)またどこかでFBIの名前を見かけたら、
虐めてやるつもりで遊んでやっていただけると、これ幸いです。

ハシ:
今後続編を出す予定ですが前作よりもステップアップした仕上がりに出来ればと思っています。
慢心せずこれからもハングリーにがんばります。


//今後、コミックメーカーでゲームを制作されるクリエイターの皆様へ一言御願いいたします。//

ハナ:
一念発起でゲーム制作を思い立った方には、これほど作り手側を意識した制作ツールは他に無いでしょう。
制作開始当初、プリンターの接続ですら満足に出来ず、パソコン買った電気屋に本体抱えて泣きながら駆け込む程のド素人の私が、無事ゲームを公開するまでに至れたのは、何を隠そうコミックメーカー存在があればこそです。
タグだの何だのと、小難しい事を知らなくたって、「日本語読めれば何とかなるぁ!」の親切ツールの存在は、これからゲームを作ってみようかな〜って方々に多大な利益を与えることでしょー!
また、制作に慣れてくると、一つ一つは単純なコマンドでも、その組み合わせ次第で色々な演出が可能になります。きっと、私が考えている以上に奥が深いですよこのツールは。フフフ。

ハシ:
一人でもカンタンにはじめられます。ゲーム制作に興味がある人は是非コミックメーカーを触ってみて欲しいですね。
こんなに優しいゲーム制作ツールはコミックメーカー以外考えられないでしょう。
ゲームをチームで作る場合は納得いくまでじっくり話し合ったり、気持ちを言い合ったりする機会はすごく大事だと思います。そこで座礁せずにがんばって乗り越えたら良いゲームが出来るんじゃないかなと思います。
あとは「楽しむ」これが大事だと思います。自分もこれからも楽しんでゲーム制作していきたいと思います。


ハナ様、ハシ様、ご協力いただきまして有り難うございました。

今後のFBI様のご活躍にご期待下さい。